2014年12月18日木曜日

引退したジェイミー・ヴァーナーは組合を設立する ①


 

 

 
UFC on FOX 13でのすこし風変わりな敗北の後、ジェイミー・ヴァーナーは自らのキャリアを総括し、これからはファイターのための組合を設立するつもりだと語った。

 

ヴァーナー(21-11-1 MMA, 3-6 UFC)のファイターとしてのキャリアは少々後味の悪い結末を迎えた。投げた勢い余って自らの頭を強打し、意識を失いかけた彼は、そのままリアネーキッドチョークを決められドリュー・ドーバーにタップ負けを喫した。

 

プレリミナリーカードの全試合が終了し(イベントはヴァーナーの故郷であるアリゾナで行われた)、その30歳になるファイターは記者の前で引退を発表した。引退後はファイターのための組合を作ることに力を注ぎたいと語った。

 

組合の必要性を訴えたのはヴァーナーが初めてではない。しかしいよいよ実現にむけて行動に移す時期が来たと彼は言う。

 

「何かしらの形でファイターの組合を作りたいんだ。このスポーツは急速に成長し、僕らファイターはスポンサーと大きな契約をすることもあるが…けど僕らは(ビジネスマンではなく)ファイターだから…何というか、それ以上のことや、その先のことになるとからっきしなんだ。

 

もし僕らが組合を何かしらの形で実現できるとしたら、結局のところ…本当の意味でファイターのキャリアを作ることにつながると思うんだ。今はたくさんのファイターがいるけど、僕は彼らの未来を作る助けなりたいんだ。」

 

 

After winning 'most prestigious belt,' retired Jamie Varner focuses on fighters union

By: MMAjunkie Staff December 15, 2014 8:25 am より引用・翻訳

2014年12月17日水曜日

MMAジムを経営したい? ③


 
 

MMAの成長により、より一般的な分野からのビジネスへの参入も期待できる。しかし現状は一人のファイターかそのチームが経営する閉ざされたものだ。最前線の現場で求められる知識と情熱が広く共有されているとは言えない。マッケンドリーは自らがMMAマネージメントクラスで学んだ知識をSports Management Worldwideを通してオンラインで世界中に教えている。

 

最後に、MMAジムを経営するために最も必要なアドバイスを3つ挙げてもらった。

 

l    深呼吸をすること。現場はときに果てしなくカオスで、全ての世界の終わりが一度に来たって感じる瞬間がよくある。けど、そんなのたいしたことじゃない。辛抱強く困難に向き合えば、必ず打ち克つことができる。

 

l     常に高い視点でいること。ときに無礼者があなたに失礼な言動・態度をとったとしても、プロフェッショナルとして適切に振舞うこと。

 

l    夜は電話の電源を切ること。仕事はあくまで仕事。私生活と切り替えること。仕事のストレスを家庭やその他のプライベートな関係にまで持ち込まない。朝になったらこちらからかけ直せば良い。いつだってインデックスは一杯かもしれないけど、結局のところビジネスで人が死ぬような問題が発生することはないのだから。

 

 

Want to Manage an MMA Gym? Becca Borawski Jenkins  Managing Editor Breaking muscle より引用・翻訳 

2014年12月16日火曜日

MMAジムを経営したい? ②


 
 

ジムの経営には様々なビジネスの観点があり、様々な人間がいる。そのなかで正しい判断を行いジムの経営を導くことがジムマネージャーの主要なテーマだ。

 

チーム・クエストはただ単にプロのためのジムではなく、楽しみのために訪れるアマチュアたちのものでもある。ビジネスの観点から言えば、専業主婦がプロを志すような環境を維持することは困難なことでもある。

 

「スタッフやコーチは、アットホームでフレンドリーな環境を保ちつつそれでいてなお、世界的に恐れられるジムの名声を維持しなくてはならない。それが最も困難だと言える。

 

ひとそれぞれ各々の経営スタイルがあるけど、経営者は関係者それぞれにゴールを意識させ、各々が重要なパートであることを意識させる必要がある。もしあなたが彼らを大事に思うなら、彼らがそれぞれの最大限の貢献を果たす手助けをすることができる。」

 

コミュニケーション能力はジムを経営するときに大きな助けになる。MMAであろうとなかろうと、ジムの経営はカスタマーサービスであり、そして顧客は自分の話を聞いてほしいと思うからだ。もしかしたら、あなたはファイターとはそのなかでも最もコミュニケーションが困難な部類であると思うかもしれない。しかし、マッケンドリーの経験によれば、それはどうやら違うようである。

 

「ファイターたちはジムのなかで最も働きやすい人種だ。ほとんどの場合において彼らは謙虚であり、かつリスペクトフルな人間だからだ。ただプロになりたいのに、それに見合う努力をしようとしない人間がいるなら、やっかいなことになるね。ファイターは基本的に巨大なエゴを持っているものだから。

 

もしあなたが、それぞれが達成したことに敬意を払うことができる人間なら、それは問題ではない。しかし暴君のように振る舞い、メンバーをただ高圧的に従わせようとするなら問題だ。それはジムだけでなく他のビジネスについても顧客を相手にする場合において同様に言えるだろう。」

 

個人によってなされたあらゆる成果、特にそれぞれの身体によって達成たれた事柄は全て尊重されるべきものである。これはマッケンドリー自身のアスリートとしての経験から導き出されたものである。

 

Want to Manage an MMA Gym? Becca Borawski Jenkins  Managing Editor Breaking muscle より引用・翻訳 

2014年12月15日月曜日

MMAジムを経営したい? ①




総合格闘技(MMA)の急速な発展により、より多くの人間がMMAビジネスの世界で成功することを夢見るようになった。

 

スコット・マッケンドリーはオレゴン州にあるチーム・クエストでゼネラルマネージャーになる道を見つけた。チーム・クエストはかつてランディ・クートゥア、ダン・ヘンダーソン、マット・リンドランド、ネーサン・クアリー、クリス・リーベンやチェール・ソネンといった名だたるファイター達が在籍していたことでも知られる。

 

しかし、いったいどのようにしてMMAジムのゼネラルマネージャーになることができるのだろう。

 

スコット・マッケンドリーとチーム・クエストとの関係は2005年から始まる。MMAという競技の過酷さ・熾烈さは、しかし元プロ・ラグビー選手である彼にはさほど問題にはならなかった。

 

カナダ代表としてプレーした経歴をもつ彼だったが、しかしMMAのトレーニングはただ警察官になるためのものであり、プロのファイターになるためのものではなかった。

 

MMAのコーチとして知られるロバート・フォリス(その当時はチーム・クエストでゼネラルマネージャーをしていた)はある日、マッケンドリーをチーム・クエストのインストラクター講習に誘う。そしてその講習が終わらないうちに、彼にゼネラルマネージャーのポジションが打診された。 

 

「僕はオレゴンのサレムで最高級の調理台をオートキャドで設計する仕事をしていたんだ。ポートランドに生活しながらね。通勤時間も毎日2時間はかかる。そのうえ、毎夜TQIC(チーム・クエスト・インストラクターズコース)講習も受けていた。けどそんなある日、講習のまだ半ばでマットとロバートが訊ねてきたんだ。プロになりたいか?ってね。」

「僕の答えは“No”だった。僕は昔ラグビーをしていたから、ハイレベルな領域でプレーするには多大な努力と犠牲が必要だってことを理解していたからね。それよりも僕は家族の暮らしを優先したかった。」

「その僕の答えはマットとロバートが決断をする決め手になったようだね。プロのファイターになる情熱を持っているうちはジムの経営はできないから。その次の日には仕事中にマットから電話が掛かってきて、来週から仕事を頼めるかと言われた。突然のことだったけど、僕は断固たる決意(辞める意志)をそのとき勤めていた会社に伝え、その2週間後にこの仕事を始めたんだ。」

 

Want to Manage an MMA Gym? Becca Borawski Jenkins  Managing Editor Breaking muscle より引用・翻訳 

 

 
 

2014年12月10日水曜日

アイブス・エドワーズ :もうジムに行く必要は無い、それはとても奇妙なことだ ③


 Yves Edwards

衰えを認めるのは容易なことではない。しかしそれは彼の友人たちも同様に通った道でもある。チームメイトで友人でもあるマイク・ブラウンもその一人だ。彼らはエドワーズに“(想像するほど)引退も悪くないもんだよ”とアドバイスをくれるという。

 

考えるべきなのは、彼がただ息の長いファイターであることではなく、戦うことが彼にとってアイデンティティーであり、生き方であるということだ。それはただ名声や経済的なものを越える問題である。

 

「もうあれほどの興奮を感じることはないだろう。オレはもう戦うことは無い。そしてオレはそれが好きだった。20年以上も戦ってきたのに、もう終わってしまった。…もう二度と起こらないんだ。」

 

彼の仲間たちは例え引退したからといって、彼をジムから追い出したりしないだろう。しかし仮にそうだとしても、以前と同じように彼を見てくれるのだろうか。エドワーズは疑ってしまう。毎日のようにそこにいたはずの人間が、もうそこにいないのだから。

 

「もうダスティン・ポーリエーやギエソン・ティバウ、ピットブル(チアゴ・アウベス)やいつも傍にいた仲間たちに毎日会うことも無い。それがとても悲しい、彼らはオレの親友だから。今キャリアが終わってしまって、家族に等しい彼らとこれまでと同様の時間を過ごすことは無い。彼らはとても大切な存在だ。だからそれを失うのがとても悲しいんだ。」

 

輝かしい日々に思いを馳せるのは、彼にとって酷なことだ。彼は今まで決して減量を楽しんだことは無かったが(そしてそれは当然のことだが)、引退した今となってはもう二度と減量しないという事実がことさら彼に郷愁の念を掻き立てる。彼にとって最後の敗北(UFC Fight Night 57での一本負け)から家路に着き、減量のために使ったサウナ・スーツが浴場にかかっている光景を見たとき、彼はあの日々がもう二度と帰ってこないだろうことを感じた。

 

「それを見たとき気がついたんだ、“もう二度と減量しないんだ”って。本当にキツかったよ。だって“前の減量が最後だったんだ”ってことを強烈に感じさせられたから。」

 

それは終わりだ。そして彼が認めるように、始まりでもある。例えそれが彼にとって良いものでは無かったとしても。しかしこれほどまで急にある日、そのキャリアだけでなくまたその人生の大部分を占めていたものを失う者がいるだろうか。いったい誰が彼に適切なアドバイスを与えることができるだろう。誰が彼を救い出す魔法の言葉をかけることができる?

 

「それが避けられないことだって知っていた。ただ自分が今どんな状況なのか、混乱しているだけで。例えばオレの父は3536で逝った。父はバハマのエンターテイナーだった。けど父はそのキャリア半ばで逝ってしまった。だから引退した後の人生をどう生きれば良いのかわからないんだ。手本を示してくれる人もいなかったし、そしてその役を父の代わりに誰かにさせるつもりもない。もうそろそろオレは40だ。自分で決着をつけるよ。」

 

「ただこれだけは言える、オレは今日ジムに行く必要が無い。」

 

彼の声が再び震える。 

 

「試合に勝とうが負けようがいつだって、例えば足が治ればすぐにジムに戻るぜ。次の戦いの準備をするんだって感じだった。体が回復したらすぐに、次は誰だ?って。けどオレはもうこの質問をすることは無いんだ。それは本当に奇妙な感じだ」

 

Yves Edwards doesn't have to go to the gym today, and that is a very strange thing

By: Ben Fowlkes December 1, 2014 7:00 pm MMAJUNKIE より引用・翻訳

 

 

2014年12月8日月曜日

アイブス・エドワーズ :もうジムに行く必要は無い、それはとても奇妙なことだ ②


 
Yves Edwards
 


彼はその夢を叶えた。そしていつの間にか、昔彼がそうだったように多くの若者が彼の軌跡をたどった。彼はタイトルこそ手に入れることは無かったが、それは彼の全盛期にはまだ彼の階級(ライト級)が存在していなかったことによる。熱心なファンによって“無冠の帝王”と呼ばれたこともあったが、しかしそれで決して満足はしなかった。

 

「実際のところ、全く満足はしていないよ。オレの最高潮のとき、このスポーツは今とは全く違うものだった。タイトル戦なんて夢のまた夢で、いつも自分とは関係の無い所で争われていた。それはオレが決して持つことはない記憶や感覚、チャンピオンの心地だからオレはチャンピオンになりたかった。もしそれが叶っていたら、いったい皆はどんなふうにオレのことを思い出すのだろう。今とは違うだろうな。」

 

VHSを交換して試合を観た世代は、DVDやスマートフォンで試合を観る世代よりもすっとオレのことを知っていると思う。若い世代がオレの試合や功績をかえりみることは無いだろう。それは十分にわかっているつもりだ。結局のところ、それは世代の違いなのだから。オレは昔の人間で、若い彼らには必要無い。でもオレは幸運だと思う。オレの試合を観るためにお金を払ってでも見に来たいと思う人がいたのだから。」

 

しかし彼の過去を問うことは、問題の一つの側面を照らすことにしかならない。これまで20年間も続けてきたことを諦めさせられて、これから彼はいったいどのように生きてゆけばよいのだろう。

 

いや、この言い方は厳密には正しくない。なぜなら彼は引退を強制されたわけではないのだから。他のファイターと同様、彼も選択をしたのだ。彼は言う。

「原因はパフォーマンス以外のなにものでもない。」

 

「一番つらいのは、思ったようなパフォーマンスができないってことだ。何故かわからないが、ジムでできるパフォーマンスが試合ではできないんだ。ジムではあらゆる状況に対応する準備をする。けどそれがケージのなかで上手く発揮されないと、オシマイさ。何がいけないのかわからない。年をとったという実感も無い。10年前と比べても違いは無いはずなんだ。何か良い結果を残したいけど、実際はどうにもならなくて、もうどうしようもない。」

 

Yves Edwards doesn't have to go to the gym today, and that is a very strange thing

By: Ben Fowlkes December 1, 2014 7:00 pm MMAJUNKIE より引用・翻訳

 

2014年12月4日木曜日

イーブス・エドワーズ :もうジムに行く必要は無い、それはとても奇妙なことだ ①



(イーブス・エドワーズ :引退を発表)


 
Yves Edwards


長い沈黙のなか絞り出すように出された声は、うわずり、途切れて宙に消えてしまう。

 

66戦のキャリア(非公式を除く)を持つ38歳のファイターは、そのキャリアを終え、グローブを壁にかけた。それは誰にでも訪れる瞬間のはずだが、しかし彼には、その輝きを失うことが何を意味するのか本当の意味で理解できたわけではない。

 

エドワーズ「このこと(引退)については今まで随分と考えた。けど誰かにはっきりと伝えたことで、初めて実感できた気がする。」

 

エドワーズ(42-22-1 MMA, 10-10 UFC)は土曜の夜に公式に引退を発表した。

 

「今はもう口にしてしまったから、“ああ、本当に引退するんだ”って実感があるよ。でも今朝目が覚めたときはまだトレーニングに行きたかったんだ。
 
今になって振り返ってみると、“これまで本当に楽しかったんだな”ってしみじみ感じる。けど同時に“もうあの場所に戻ることは無いんだ”ってどうしても考えてしまう。何というか、本当に奇妙な気分だよ。」

 

エドワーズは17歳の時からファイターである。振り返ってみると、それはまだMMAがかろうじてスポーツとして認識され始めた頃のことだった。試合はジムのなかで行われ、 観客もまばら、階級なんてまだ理論のなかでしか存在しなかった。彼は大学を卒業後、空いた時間を銀行のテーラー、またはチリーズのウェイターとして働きながらファイターとして成功する未来を夢見ていた。

 バス・ルッテンやヘンゾ・グレイシーが彼のヒーローで、VHSを借りては熱心に見ていた。 “いつか自分も彼らのような舞台で戦えますように”といつも祈っていた。

Yves Edwards doesn't have to go to the gym today,and that is a very strange thing
By: Ben Fowlkes December 1, 2014 7:00 pm MMAJUNKIE より引用・翻訳