衰えを認めるのは容易なことではない。しかしそれは彼の友人たちも同様に通った道でもある。チームメイトで友人でもあるマイク・ブラウンもその一人だ。彼らはエドワーズに“(想像するほど)引退も悪くないもんだよ”とアドバイスをくれるという。
考えるべきなのは、彼がただ息の長いファイターであることではなく、戦うことが彼にとってアイデンティティーであり、生き方であるということだ。それはただ名声や経済的なものを越える問題である。
「もうあれほどの興奮を感じることはないだろう。オレはもう戦うことは無い。そしてオレはそれが好きだった。20年以上も戦ってきたのに、もう終わってしまった。…もう二度と起こらないんだ。」
彼の仲間たちは例え引退したからといって、彼をジムから追い出したりしないだろう。しかし仮にそうだとしても、以前と同じように彼を見てくれるのだろうか。エドワーズは疑ってしまう。毎日のようにそこにいたはずの人間が、もうそこにいないのだから。
「もうダスティン・ポーリエーやギエソン・ティバウ、ピットブル(チアゴ・アウベス)やいつも傍にいた仲間たちに毎日会うことも無い。それがとても悲しい、彼らはオレの親友だから。今キャリアが終わってしまって、家族に等しい彼らとこれまでと同様の時間を過ごすことは無い。彼らはとても大切な存在だ。だからそれを失うのがとても悲しいんだ。」
輝かしい日々に思いを馳せるのは、彼にとって酷なことだ。彼は今まで決して減量を楽しんだことは無かったが(そしてそれは当然のことだが)、引退した今となっては“もう二度と減量しない”という事実がことさら彼に郷愁の念を掻き立てる。彼にとって最後の敗北(UFC Fight Night 57での一本負け)から家路に着き、減量のために使ったサウナ・スーツが浴場にかかっている光景を見たとき、彼はあの日々がもう二度と帰ってこないだろうことを感じた。
「それを見たとき気がついたんだ、“もう二度と減量しないんだ”って。本当にキツかったよ。だって“前の減量が最後だったんだ”ってことを強烈に感じさせられたから。」
それは終わりだ。そして彼が認めるように、始まりでもある。例えそれが彼にとって良いものでは無かったとしても。しかしこれほどまで急にある日、そのキャリアだけでなくまたその人生の大部分を占めていたものを失う者がいるだろうか。いったい誰が彼に適切なアドバイスを与えることができるだろう。誰が彼を救い出す魔法の言葉をかけることができる?
「それが避けられないことだって知っていた。ただ自分が今どんな状況なのか、混乱しているだけで…。例えばオレの父は35か36で逝った。父はバハマのエンターテイナーだった。けど父はそのキャリア半ばで逝ってしまった。だから…引退した後の人生をどう生きれば良いのかわからないんだ。手本を示してくれる人もいなかったし、そしてその役を父の代わりに誰かにさせるつもりもない。もうそろそろオレは40だ。自分で決着をつけるよ。」
「ただこれだけは言える、オレは今日ジムに行く必要が無い。」
彼の声が再び震える。
「試合に勝とうが負けようがいつだって、例えば“足が治ればすぐにジムに戻るぜ。次の戦いの準備をするんだ”って感じだった。体が回復したらすぐに、“次は誰だ?”って。けどオレはもうこの質問をすることは無いんだ。それは…本当に奇妙な感じだ」
Yves Edwards
doesn't have to go to the gym today, and that is a very strange thing
By: Ben
Fowlkes December 1, 2014 7:00 pm MMAJUNKIE より引用・翻訳